ぽんぽこたぬきのブログ

思ったことや出来事を書き殴るブログ

万引き癖があるヤバい知り合いの話

 

僕は東京のとある美大に通っている。

皆さんが持つ美大生のイメージは、どのようなものだろうか。

漫画「ハチミツとクローバー」を読んだ方なら、オシャレでカッコいい、というような印象を持っているだろう。

 

果たしてそれは正しいのだろうか?

皆が受験で必死に勉強をしている間、絵を描いて過ごし、べらぼうに高い学費を払ってくれる甘い親に育てられた連中だ。

本当の美大生の姿とは一体?

 

美大は社会不適合者のるつぼ

アメリカは人種のるつぼ、みたいな感じで言ってしまったが、この一言が全てだ。

頭のネジがぶっ飛んでいる、決してカッコいい意味ではなく、悪い方にイカれた人間が多い。

 

先日、朝登校したら、同じ学部の留学生が声をかけてきた。

拙い日本語で僕の名前を呼ぶ。

「たぬきー、たぬきー」

「なに?」

 

 

 

 

「脱法ハーブって合法?」

 

 

いや、怖すぎる!

なんだその第一声は!

僕が生きてきた中での"衝撃的な第一声ランキング”堂々一位だよ!

おそらく一生塗り替えられることなく死ぬまで一位だよ!

よくよく話を聞いてみると、彼の所属しているサークルが完全に脱法ハーブに侵されており、先輩から勧められて迷っているのだそう。

強く止めておいたが、できるなら僕に声をかける前に"脱法"の意味を調べてくれ。

 

他にも、無口で地味だと思っていた女の子が、行きずりの相手とキメセクしていたり、友人がマルチに騙され「絶対に企業で成功する本」上下巻二冊を50万で買っていたり、とにかくスキャンダラスな奴だらけだ。

 

ようやくタイトルに書いてある人物に触れるが、彼はそんな美大生たちの中でも特に印象深かった。 

 数え切れないほどの万引きを繰り返す、知り合いA

Aは同じ学部の同級生だ。 友人ではなく、少し話すことがある程度の関係で、パーソナルな情報はあまり知らない。

 

ある日、世話焼きの同級生が神妙な面持ちで話しかけてきた。

「たぬきさ、Aがめちゃめちゃ万引きしてるの知ってる?」

「・・・え?そうなの?」

「なんかもはや病的みたいでさ、作品の発表会やプレゼンの前になると、ストレスで頭がワーーーッってなって、気がついたら万引きしてるらしい」

「ええ・・・」

そして彼は、こんな話を持ちかけてきた。

「Aって上京して来てるから近くに親もいないじゃん?こんな話おおやけにもできないし。だから俺たち、毎日日替わりでAのそばについて見張ってるんだ」

「はあ・・・」

「だからさ、たぬきもこのシフト入ってくんない?」

 

(えぇーーー・・・いやバイトみたいなノリで言うなよ・・・絶対ヤだよ・・・)

 

内心そう思っていたが、彼があまりに真剣に頼むので、断れず承諾してしまった。それでAがまともになるなら、という思いもあった。

 

そして、ついに僕がAを見張る日、当日。

その日は作品の途中審査会があり、制作が遅れているAは教授に叱咤されていた。その後Aが買い物をしたいというので、 僕は常に目を光らせていた。

怪しいそぶりは見せなかった。時間も遅くなったので、夕飯を食べて解散する事になった。

 

(良かった・・・)

 

安堵感に浸りながら、僕とAははなまるうどんに入った。

他愛もない会話をし、食事を終え店を出た。

店を出て少し歩いている時、僕は何気なくAのズボンに目をやった。

すると

 

Aの右ポケットだけ、ビッチャビチャになっていた。

 

瞬間、僕はAが過ちを犯したことに気がついた。

「おい!おま・・・お前それ!やっただろ!出せ!今すぐ出せ!」

激しく問い詰めると、Aは震える手をポケットに入れ、何かを握りしめる。手を出し、ゆっくりと開くと、それは

 

ボロッボロのエビ天だった。

 

 

しかも直で。

 

Aは、僕が一瞬目を離した隙に頭がワーーッとなり、こう、セルフで天ぷらを取るところから、エビ天を鷲掴みにしてポケットに入れたのだ。

驚愕した。だがこのまま帰れる訳がない。僕はAの手を引っ張ってはなまるうどんに大急ぎで戻った。

 

店内にいる女性の店員を呼び止め、Aに言わせた。

「・・・あの・・・これ、盗んじゃいました・・・」

 

店員は、明らかに怯えていた。

 

そりゃそうだ。大人がエビ天だけ握り締めて。エビ天を直で盗んでも、ポケットが油でダルンダルンになるだけなのだ、万引きをした側にもデメリットしかない。

 

そんな奴、怖すぎる。

 

店員はしばし呆然と立ち尽くしたあと、「店長を呼ぶので奥の部屋に来てください」と、バックヤードに通された。

 

パイプ椅子に座り、机の上にボロッボロのエビ天を置く。2,3分ほど待つと店長が現れた。

 

店長も、明らかに怯えていた。

 

重ねて言うが、エビ天を盗んでもポケットがダルンダルンになるだけなのだ。万引きをした側にも何のメリットもない。

 

そんな奴、怖すぎる。

 

僕は全力で謝った。Aにも何度も頭を下げさせ、ストレスで頭がワーーッとなることも全て説明した。

僕らの話に、店長はドン引きしながら頷き、少し間を置いて言った。

「そっか・・・今回は少額なものだし、反省してるようだから、いいよ、このまま帰りなさい」

店長には、もうこれ以上こんなやばい奴と関わりたくない、というような恐れの感情も見て取れた。

よくないのかもしれないが、僕は安堵し、最後に深々と頭を下げた。店長は続けて言った。

「このエビ天だけなんだね?じゃあいいよ、偽りがないなら。その代わり、こういうことはこれっきりにしなさい」

 

「すいませんでした・・・ありがとうございます・・・!」

僕は出来うる限りの感謝を示し、Aに「帰ろう」と声をかけた。

 

Aは、なかなか席を立とうとしない。

その場でうつむいてモジモジしている。

 

1分ほどの沈黙が続いた後、Aは切り出した。

 

「あの・・・これも・・・」

 

 

Aは左ポケットから、おいなりさんをとりだしたのだ。

 

もちろん、直で。

 

机に直に置かれるおいなりさんとエビ天。

僕はその光景に愕然とし、ただ立っていることしかできなかった。

 

「・・・警察、呼ぶね」

店長は極めてバツの悪そうな顔をして通報し、Aはパトカーに乗せられていった。

 

一人取り残されて店を出たとき、真っ白になった頭で確信した。

 

 

美大は、社会不適合者のるつぼだと。